2005年10月15日

■ 国境取材計画 12 (川崎)

 金木犀が香ってきました。
 空気はきりっと冷えはじめ、風は涼しく、空が少しだけ高くなったような錯覚も覚えます。
 いい季節です。

 こんないい季節に日本を離れ、帰ってきたら初冬になっているのはちょっと寂しいものですが、でも誰も「それは残念だね」と本気で同情してはくれないので、きっと「旅行のほうがずっといいだろう」と思っているのでしょう。
 私もそう思います。

 さて、日本を離れる前に、軽いお話を2つほど。

●その1 旅先の着替え

 ずいぶん以前ですが、旅行誌の編集会議で。
「男性が出張に行くときは、2週間くらいでもみんな日数分の着替えを用意していく」と言われて、ちょっと驚きました。
 私は、どんなにハードな取材旅行のときも、2〜3日分の着替えだけを用意して洗濯をしながらやり過ごすので。
 いちど、10日間のハワイロケのときに、同行した男性スタッフに、「男性はそんなもんですか?」と聞いたところ、「そんなもんです」と言われたので、たぶん、そんなもんなんでしょう。

 そして先日のある打ち合わせで、ある男性が私に向かって、「3週間近くも行くんだったら、すごい荷物になるでしょ?」と言うので、「いえ、5日以上だったらもう何日でも同じですよ」と話したのですが、その場には男性しか居なかったせいか、みんなに「信じられない」「それは洗濯しに旅行に行くようなもんだ」「安い下着を捨てて回ればいいのに」と口々に言われ、私が「変わり者」扱いされてしまいました。

 うーむ。
 荷物を減らしたいのもありますが、使用済みの大量の下着を持ち歩いたり、誰がどう目にするかわからないのに捨てて帰るって、ちょっと抵抗があるのですが。

 いつもは、あまり男女差を意識せずに暮していて、そして「男っていうのはなぁ」とわけ知り顔で言う人を「ケッ」と思うタイプなのですが、この問題については、もしかすると、だいぶ性差があるのかもしれません。
(まあ、根本はジェンダーの問題かもしれませんが)

 久々に、「男と女の間には、暗くて深い河がある」と思ったのでした。

●その2 ハンガリーの入国

 外務省の「海外安全ホームページ」を見てみました。
 なかなか興味深いうえに、「私は無事に帰れるはずがない」という気分にさせてくれます。

 さてそこに、ハンガリーの入国が厳しくなっている話が載っています。
 どうやら日本人のフリをしたアジア人が大量に、日本の偽パスポートを持って不法入国しようとするので、パスポートが汚れていたり文字がかすんでいたりすると怪しまれるそうです。

 もう少し近しい国で、日本語が話せる係官がいれば、そんな大雑把な判断基準ではなくて、何か質問をするだけでわかりそうなのですが。
 例えば、日本の外務大臣の名前を答えさせるとか、日本の都道府県の数を答えさせるとか、「桜」をうたわせるとか、日本語のことわざの意味を言わせるとか。
 でも、答えられない日本人も多いかも。
 だから、妙にすらすら答えたり、妙に言葉づかいがきれいだと、逆に怪しまれたりして。

 それにしても外国人に化けるというのは、どんなもんでしょうか?
 よく戦争映画で見るシーンですが、他国の人間に化けて、検問や尋問でもその国の言葉でぺらぺらと答えるのに、「よし」と言われたあとに、自国語で「お気をつけて」と言われて、「ありがとう」と答えてしまったばかりにバレる、なんていうのがあります。
 バリエーションはいろいろですが、代表的なのは「大脱走」でしょうか。

 さてハンガリーの入国審査で、私がけっしてやってはいけないことは、パスポートチェックを受けたあとに「謝謝」と答えることだと思うのですが、「やってはいけない」と思うとついやってしまいそう……。

 ま、帰りのフライトチケットがあるから、たぶん大丈夫でしょうけど。


 というわけで、今日は残りの仕事を片付けて、明日は旅行の準備をして、明後日の朝には旅立ちます。

 では「国境取材計画」は終わり、シリーズタイトルを変えて、再スタートします。
 たぶん。

(了)


posted by 「辻行燈」 at 15:21 | かわさき話/国境取材計画

2005年10月08日

■ 国境取材計画 11 (川崎)

 さて、「国境取材」といいながら、最近書いてきたことは、いわゆる普通の「旅行準備」みたいなものでした。
 旅慣れている人なら、別に何の準備もいらないような。

 今までに書いた以外にも、「海外のATMで現地通貨でおろせる銀行口座を用意しよう」とか「目覚まし時計や電子辞書の電池を替えておこう」とか「郵便物の配達を止めておく手続きをしなくては」とか「ユーロの少額紙幣を用意しようか」とか、ほんとに呆れかえるほどの雑用の多さです。

 肝心の「訪問国の歴史の勉強」なんてのが、ずいぶん後回しになっていました。本はいくつか揃えていたのですが、「お勉強本」というのはなかなか読みにくい。

 最近、『東欧』という本に手を付けたのですが、「マケドニア地方はオスマン帝国内のコソボ、モナスティル、ティサロニキ県に大方相当する地域で、民族的にも言語的にも複雑であった」なんて文章を仕事の行き帰りの電車の中で読んでいると、3分で夢の中へ……。

 でも、恥ずかしいほど知らなかったのですが、ドイツ−チェコ間ひとつを取り上げても、複雑で解決しがたい歴史があったようです。
 銀の鋳造技術をもつドイツの職人が中世にチェコに大量に移住して「ズデーテン・ドイツ人」と呼ばれていたことや、第二次大戦のときは彼らの居住地区がナチス・ドイツに無理やり併合されたこと、戦後は逆に財産を奪われてドイツなどに追放されたこと、その「追放」に対する歴史認識が両国で長く違っていたのはもちろん、同じ国内でも政治的立場によっていろいろと考え方が違うことなど、ほんとに初めて聞くことばかりです。
 これらは、『国境をこえるドイツ』という本からの知識。

 日本と周辺国のことに重ね合わせて考えてみれば、何となくだけど、想像がつきますが。
 そして、ヨーロッパは国境が地続きなだけに、考えてみれば、最低でもひとつの国境にひとつくらいは「重い歴史」があるんでしょう。

 私が勝手に思っている、「世界でいちばん穏やかな国境」である「アメリカ−カナダ」でさえ、たぶんちょっと調べられば何かが見つかることでしょう。

 今回の旅行(取材とは言わず)は、まだ下調べ的な気分ではいるのですが、それにしても知らなすぎた。
 立場を逆にしてみると、日中間の歴史を何も知らない外国人がいきなり中国へ行き、中国人をつかまえて「日本への思い」なんてのを聞いても、話がかみ合わないのは当然のこと。

 今回の旅行は、「ベルリン → ドレスデン → プラハ → ブルノ → ブラチスラバ → ショプロン → ブダペスト」というルートを予定しているのですが、この中だけでも4つの国境があります。

 欲張りすぎたかなあ、という思いもあるのですが、ま、今回は「17年後のセンチメンタルな再訪」という意味もあるので、とりあえず行ってみますが。
 次回からは、もっとじっくりとやりましょう。
 と、もう次も行くつもりにしているのだけど。

 しかし、世の中には知らないことが多すぎますね。
 当然だけど、IT機器のスペックを調べる前に、もっと知っておくことべきがたくさんあるようです。

※そうそう、「国境取材計画 05」で書いた、私をパリでの合流に誘ってくれたのは佐藤さんなのでした。
 楽しそうな計画だったのに残念です。
 今回は少し禁欲的すぎたので、次回はもう少し、ゆとりや遊びのある旅にしたいものです。

(次回へつづく)
posted by 「辻行燈」 at 16:48 | かわさき話/国境取材計画

2005年09月28日

■ 国境取材計画 10 (川崎)

「旅に出る」というのは、「日常から離れる」ことに意義があると思うのですが、最近このあたりがだいぶ変わってきました。

 私自身、98年に出かけた2回の海外旅行では、日本との通信手段は電話と郵便くらいしかなくて、お茶のついでにポストカードにペンを走らせた程度でした。

 が、2000年の2回の海外旅行(取材旅行と家族旅行)では、すでにモバイルPCとデジカメを持参して、撮った写真を友人に送っては、旅の途中経過を報告したりしてました。
 そのときはお互いが珍しいから、「すごいでしょ」「すごいね」というハイテンションな状況でそれなりに楽しかったのですが、「日本を遠く離れた空の下で……」なんて異国情緒に浸るでもなく。
 まあ、もちろん旅の種類としても、そんなもんでしたけど。
 そして、それ以降の都合6回ほど海外旅行(ほとんどが取材)でも、同じようなものでした。

 今回の旅で私が密かに注目しているのは、「モバイルPCを持参する初めてのひとり旅」という点です。

 3G携帯を持参したり、現地でブログを更新したりして、インターネットやIT機器の利便性にどっぷり漬かったスタイルの旅もできますが、片足を日本に残したような旅をしていいのかな、という危惧もあります。
 下手をすると、ふた昔前に「日本というカプセルに入ったまま、海外を移動するだけ」と揶揄されていた団体旅行と、あまり変わらないのでは、と。

 確かにひとり旅をしていると、映画の「ロスト・イン・トランスレーション」の主人公のように、寂しさ、疎外感、居心地の悪さなどに苛まれることも多々あります。
 でも、たぶんそれが旅の醍醐味でしょう。

 ※それを、日本が悪いかのように描いたところがこの映画がダメなゆえんだと思うけど。

 フランスの片田舎の礼拝堂を修復したことで有名な、美術家の田窪恭治という人が、「新鮮な感覚を保つコツは、ときどき住むところを離れて、海外を旅すること。そしてそこで、地元の人と交流すること」という趣旨の発言をしていました。

 リービ英雄も、「旅は、寂しさの発見である」と書いています。

 これらに従えば、十数時間もかけて地球の裏側まで行き、日本に向いているのもバカバカしい気がしたり……。
 現地でブログが更新できることも、現地の写真をメールで送れることも、もうみんな知っているのだから。

 でも、最近この旅行計画を知った友人が、「今までのように、向こうからメールを送る予定があるなら、ぜひ私にも」と言ってくれたので、また私のサービス精神に火がついたり……。

 というわけで、当初は「通信環境さえ整えば、旅行中に毎日でもブログ更新をしよう」と張り切っていたのですが、そのあたりがだいぶ変わるかもしれません。
 もちろん、通信環境もあまりよさそうじゃないのだけど。

(次回へつづく)

posted by 「辻行燈」 at 14:26 | かわさき話/国境取材計画

2005年09月22日

■ 国境取材計画 09 (川崎)

 さて、パソコンとカメラ関係で持っていくもの、書き出してみました。

●モバイルパソコン/ACアダプター/LANケーブル/プラグ(コンセント)用変換アダプタ(マルチ対応)/延長用ACタップ
●海外仕様のモデムカード/モデムカード専用ケーブル/モデムチェッカー/電話回線プラグ変換アダプタ(3〜4か国分)
●デジタル一眼レフカメラ/コンパクトデジカメ/充電器/スペアの充電池/メモリーカードリーダー/カードリーダー用USBケーブル/
●バックアップ用CD-R

 バカみたいにたくさんあります。

 もしもフィルムカメラにして、パソコン持参さえしなければ、以下ものですみます。

●フィルム一眼レフカメラ/フィルムコンパクトカメラ
●ポジフィルム/モノクロフィルム
●予備電池

 うーん、「デジカメになったら、フィルムが不要だから荷物が減る」なんて、誰が言っていたのでしょうか?
 私も言いましたけど。

 さらにその他の目的、つまり旅行用、取材用、お楽しみ用のIT機器として、以下のものを持っていこうとしているのですが、なんかすごいことになりそうです。

●3G携帯電話/携帯電話充電用USBケーブル
●電子辞書
●ボイスレコーダー/ボイスレコーダー専用USBケーブル/ボイスレコーダー用充電スタンド
●MP3プレーヤー/MP3充電用USBケーブル(カードリーダー用と兼用)

 いやー、みごとに踊らされてますね。メーカーとか、家電量販店とか、雑誌とか、テクニカルライターとかに。
 そして、どちらかと言えば、私もそっちの側の人間でした。

「便利な機器」は旅を快適にするのか、それともせっかくの「非日常」に不必要な「日常」を持ち込むのか?
 そのあたりについて考えてみたのですが、長くなりそうなので、また次回に。

(次回へつづく)
posted by 「辻行燈」 at 16:30 | かわさき話/国境取材計画

2005年09月17日

■ 国境取材計画 08 (川崎)

 ようやく日程をFIXして、フライトを押さえました。

 10月17日出発で11日4日戻りです。仕事のスケジュール的には、もう少し前倒しもできるのですが、どうも、17日の週に出発する便が、その前後に比べて安いのですよ。
 そんなわけで、気候よりも金額優先です。

 いやー、こうやって航空券を押さえると、ようやく実現しそうな気になってきました。
 このブログに計画を書き続けていなければ、おそらく途中で挫折していたことでしょう。仕事との調整も大変だし、資金が潤沢にあるわけでもなし、「ま、今回は状況がベストじゃないから、また来年にでも」なんて感じで。

 さすがにここまで書いておいて、途中で止めますというのはカッコ悪すぎるので。

 こういう使い方があったのか、ブログ。
 これからは、「英会話マスターへの道」とか「肉体改造への道」とか「貯金1,000万円への道」とか、そういうのを連載するといいかもしれません。

 さて、今度の旅は現地は17泊ですが、7都市に滞在予定で、それらのホテルはこれから探します。ネット検索や英語ガイドのホテル紹介記事などを参考に。
(日本語ガイドを参考にしてホテルやレストランに行くと、場違いな日本人だらけになっちゃうんですよねー、私を含めて)

 このように転々と移動していく旅の場合、ホテルを事前に予約すると、現地での自由度や「臨機応変」度がかなり低減してしまうのだけど、現地で探す場合に比べると、時間や体力や気力がかなり節約できるので、そのぶんのパワーは取材に回そう、という考えです。
 体力も時間もあった17年前でさえ、途中でしんどくなってユースホステル利用に切り替えたくらいだし。

 そして、持って行くと便利そうなIT機器類を書き出してみて、あまりの量の多さに愕然としたのですが、それは次回にゆっくりお話ししましょう。

(次回へつづく)
posted by 「辻行燈」 at 12:38 | かわさき話/国境取材計画

2005年09月09日

■ 国境取材計画 07 (川崎)

 すっかり秋らしくなってきました。
 あっという間に寒くなるんだろうなぁ、と思った途端、中欧の10月の気温が気になって調べてみました。
 がーん。東京の12月〜1月並みの寒さらしい。

 「秋なら荷物もそれほど大きくはならんだろう」と思った私が間違いでした。
 1週間でもいいから早めるかなぁ。
 でも、東京の12月の第3週と第4週とで、寒さがそれほど違うとも思えないけど。

 さてさて、しばらく取材計画が進まないままでしたが、そろそろいろいろな準備を具体的にはじめなければなりません。

 きっちりとした計画を立てたくはないのだけど、フライトを決めるには、どの都市に入って、どの都市から出るかを決めなければならない。
 それに、日付を決めるには、どの都市を回るのか、どの都市に何泊するのか、そのあたりもだいたい決めなければならない。

 そうなると、「行きやすい国境の町はどこなのか?」「その町にはホテルがあるのか?」「鉄道は通っているのか? 電車が1日1便とかじゃないのか?」なんてことも気になります。

 というわけで、今度はガイドブックと時刻表の準備です。

 が、私がとりあえず行こうとしている、ドイツ、チェコ、オーストリア、スロバキア、ハンガリーが1冊になっているガイドブックというのが無いんですよ。
 まったく無いというわけではないけど、無いに等しい感じ。
 そして、「ヨーロッパ」という1冊では、内容が薄くて本は厚い。

 さらに私は、ショッピング情報も、グルメ情報もいらないから、とにかく基本データだけが欲しい。
 日本在住のカナダ人が、「日本のガイドブックって、75パーセントが食べ物情報だね」と笑ってましたが、まさにそのとおり。

「基本データが充実していて、私が行こうとしている国を網羅していて、さらに薄い本は?」と考えて、書店の洋書コーナーで「Lonely Planet」をチェックしてみると、ちょうど「Central Europe」というのがありました。
 掲載されている国もちょうどいい。

 問題があるとすると、「英語で書かれている」という点だけですね。

 ま、英語の勉強も兼ねて、これを購入しました。

 それから、ヨーロッパの鉄道時刻表。
 これは英語も日本語もたいして変わらないので、躊躇せずに購入します。

 というわけで、現在、「ヨーロッパのロードマップ」「Lonely Planet」「Thomas Cook時刻表」と睨めっこしながら、ルートを検討中。

 理想としては、
●国境に近くてほどほど大きな街に3泊くらい滞在して、そこから毎日に国境の町に通う。
●大きな街から国境の町まで1時間以内。
●できれば、簡単に行ける国境の町が2つ以上。
ということです。

「行ってみないと宿泊施設があるのかどうかもわからない町に滞在する」というのは、ちょっと避けておいたほうがよさそうなので。
 なんせ東京の12月の寒さですから。

 で、ひとつ、条件に合った街を見つけました。
 それはドイツのドレスデン
 ここからは、「DECIN」「ZITTAU」「GORLITZ」(ウムラウト表記は省略)という、チェコとの国境の町に電車で30〜40分です。
 でも、旧東ドイツと旧チェコスロバキアの国境って、意味的にどんなんでしょうね?
 って、それは私が調べるのか……。

 それから、取材の本質とはまったく関係のない、バッグの問題、ホテル選びと予約の問題、服装の問題などにも頭を悩ませていますが、これらは普通の旅行と同じなので、省略させていただきます。

※「そういう話をぜひ聞きたい」という方がいれば、私宛てに「バッグについて聞きたい」などとメールをお送りください。
 リクエストがたくさんあれば、それらについて私見(思い入れ?)を書きたいと思います。

(次回へつづく)

posted by 「辻行燈」 at 15:07 | かわさき話/国境取材計画

2005年08月09日

■ 国境取材計画 06 (川崎)

 前回、エールフランスの航空機事故の話を少し書きましたが、奇跡的に死者は出ず、その原因は、乗客がパニックを起こさず、スタッフの指示に従って速やかに避難したことのようです。

 スタッフの指示に従って?
 やはり、語学学習は必須ですね。

 さて、前回、だいたいのルートを仮決めしたのだけど、その後、地図を眺めているうちに、「ベルリンに行くなら、ポーランドとの国境も近いな」と気づきました。
 そんなふうに思っていると、17年前に見た美しいプラハの街が、資本主義が入った後にどう変わったかが見てみたいような気分にもなり、また、現地で知り合った人について回っただけのようなブダペストの街も、もう一度ちゃんと歩いてみたいという考えもわいてきました。

 「現地の人に話を聞く」ということに重きを置いていたときは、英語が通じそうで、何となく感覚が近そうな旧西側の国を想定していたのだけど、その割合を下げれば、旧東側でもいいかもしれない。

 さらに、ある印象深い番組を思い出しました。
 それは、NHKスペシャルの「ヨーロッパ・ピクニック計画」。
 ↓
http://www.nhk.or.jp/archives/program/back040606.htm

 ベルリンの壁崩壊のきっかけになったと言われている国境突破事件のドキュメンタリーなのですが、その舞台になったのが、ハンガリーとオーストリアの国境の町なのです。
 ベルリンやプラハに行くなら、そんなに遠いわけでもなく、その町にもぜひ行ってみたい、と。

 そんなわけで、最初は及び腰だったのだけど、旧東西の国境地帯をうろつくことに決めかけてます。

 生まれて初めての海外旅行で、1泊の予約もしないままの東ヨーロッパ1か月間ひとり旅を選んだくらいだから、今さら妙な「守り」に入ることもないだろう、と。
 治安はだいぶ悪くなっているかもしれないけど、あのときの旅に比べると、今回のドキドキ度は100分の1くらいのもんでしょう。

 今回無謀なのは、レンタカーを借りようかと軽〜く思っていることくらいか。

 そんなわけで、パリはまだ捨ててないのだけど、オランダとベルギーは、またの機会に……。

 ってことは、チェコ語とハンガリー語も勉強しなきゃいけないのか? だんだん大変になってきた。

(次回へつづく)
posted by 「辻行燈」 at 15:30 | かわさき話/国境取材計画

2005年08月03日

■ 国境取材計画 05 (川崎)

 頭の中の空想はぐるぐると広がっているのですが、まだ、何も動き出してなくて、「うーん、このまま終わる可能性があるなぁ」と心配していたのですが、ちょっと動きはじめました。

 友人が秋にパリに行くという話があり、「パリで会えると楽しいねぇ」などと言っていたのですが、その友人の日程が10月末でフィックスしたのです。
 で、私としても、これ以上寒い時期になると、荷物が増えたりして不利な条件が増えるので、何とか10月下旬から11月上旬にしてしまおうかな、と。

 そこで問題になるのが、やはり仕事のことです。
 こちらが日程を決めてしまえば、新しく入りそうな仕事には、「そこは予定があります」と断れるのだけど、問題は雑誌の仕事です。

 「運悪く」というか何というか、編集の仕事ですが、秋から雑誌の連載ページがスタートするところなのでした。「ほかの大きな仕事がやりにくいから」という理由でほとんど連載ものは請けてないのですが、「2〜3回分まとめてつくってくれてもいいし」と言ってもらってOKでしたのでした。

 が、このままではスタート時期と重なってしまう。

 でも、ここで引き下がると、やっぱりこのまま終わるおそれがあるので、いろいろ画策をして、何とかスケジュールを調整しました。
 これが、取材へ向けての最初の具体的なアクションですね(対他人で)。

 さて、こうなると、そろそろフライトの手配も考えなければなりません。

 すると、その前に、行く場所を決めてしまわねば。
 オランダ&ベルギーか、それともベルリンか。そして、パリには寄るのか。

 というわけで、サイトで格安航空券情報を調べたり、ヨーロッパの地図を引っ張りだしたりしているうちに、「2週間行くんだったら、オランダ&ベルギーとベルリンと、両方行くか」という気分になってきました。

 しかも、パリから旅をはじめれば、「フランス−ベルギー」「ベルギー−オランダ」「オランダ−ドイツ」、さらに「ルクセンブルク−ドイツ」なんて国境にも行けるのでは、ということです。
 欲張るとロクなことがないのはわかるのだけど。

 そんな欲張り計画を夢想しながら、サイトチェックなどをして情報を集めはじめたのでした。

 そういえば、この10年くらいは、年に1回くらいの割合で海外に行ってますが、仕事と親のお供がほとんどで、自分で手配して行ったのは8年も前のことでした。
 あのころと大きく違うのは、いろんな情報がサイトから簡単に手に入ること。そして、サイトで予約も簡単にできること。

 今回、「おぉ、これはいい」と思ったサイトは、格安航空券の解説サイトでした。

http://www.ki-ku.com/air_tichet/

「そっか、エールフランスのPEX航空券なら、直行便なのに94,000円か」と思ったところに、エールフランスの航空機事故のニュースが入ってきたのでした。

(次回へつづく)
posted by 「辻行燈」 at 13:32 | かわさき話/国境取材計画

2005年07月26日

■ 国境取材計画 04 (川崎)

 旅ものや外国体験もののノンフィクションで、何か参考になるものはないだろうかと、過去に読んで印象深かったものを思い返してみます。

 有名どころでは、沢木耕太郎の『深夜特急』小林紀晴の『アジアン・ジャパニーズ』ですが、私は前者のように「旅もの」が書きたいというわけではありません。

 後者のほうは、手法としてはおもしろいのですが、最近、森巣博と姜尚中の『ナショナリズムの克服』の中で、「せっかく旅してんだから、日本人探しなんてやめりゃあいいのに」などと自民族中心主義ぶりを批判さていて、それにはちょっと賛成です。

 ただ、前回の書き込みともつながるようなかなり低いレベルで反論すると、「日本人に取材するほうが、言葉の壁がなくて楽ちんだから」という理由も、ちょっとあるかもしれません。
 小林紀晴が、外国語がぺらぺらで、強い意志をもって「自民族中心主義」に向かったのであれば、これは失礼な発言ですが。

 このほかに、河口 慧海の『チベット旅行記』なんてのも印象的でしたが、私とは、時代も状況も目的も違いすぎる。
 また、小熊英二の『インド日記 〜 牛とコンピュータの国から』などもおもしろかったのだけど、こっちも状況や立場が違いすぎる。

 と思っていたところ、最近、非常におもしろい本を手にしました。
 それは、アラン・ド・ボトンという若い哲学者の『旅する哲学』です。

 サブタイトルに「大人のための旅行術」などと書かれていますが、けっしてノウハウ本などではありません。

 いろいろな都市や地域をクローズアップしているのだけど、「ガイド」と称して、その地域に訪れたアーティストや詩人や科学者などを取り上げるのです。
 それらの人物が、その地域にどんな思いを抱いていたのか、実際にその地域に行ってどんな行動をとったり、何に影響されてどんな創作をしたのか、著者の実際の旅の様子なども織り交ぜて書かれています。

 哲学書や古典文学などからの引用も多く、旅についての哲学的な思索などもあり、「はぁー、こんな手法があったのか」と非常に感心しました。
「参考にします」と言いたいところだけど、著者のような知性と教養と洞察力がなければ、無理そうですね。

 欲しいですねぇ、「知性と教養と洞察力」……。
 もしもどこかで売っているなら、多少高くても買いたい「知性と教養と洞察力」……。
 と言いつつ、どこかから妖精が現れて「欲しいものを3つあげるよ!」などと言われたら、「えっと、じゃあ、お金と若さと美貌をお願いします」などと答えてしまいそうな私なのでありました。

(次回へつづく)
posted by 「辻行燈」 at 12:41 | かわさき話/国境取材計画

2005年07月14日

■ 国境取材計画 03 (川崎)

 さて、取材のときの言葉の問題についてですが、その前に、どんな取材をするのかを決めなければなりません。

 こういうときは、ほんとにカメラマンがうらやましい。現地の言葉がわからなくても、写真一筋で勝負できます。
 ま、人物撮影をするなら、相手とある程度のコミュニケーションがとれた後のほうがいいに決まっているので、言葉の問題に多少は左右されますが、それでも、片言だけでも親しくなることは可能です。
 さらに、街角スナップやネイチャーフォトであれば、これはもう、ほとんど「言葉の壁」ってのはないに等しいことでしょう。

 私も、現地で写真は撮るつもりですが、写真だけで勝負できるとは思わないし、「自分のテーマ」というからには、やっぱり文章で表現しなければ意味ながないし。
 写真がすごくうまければ、「写真と文章を半々くらいにしてー」なんてことも可能ですが、そんなわけにもいかない。

 というわけで、取材ですよ。現地の人に。
 どうやって?

 せめて英語が通じるところなら、という気持ちはあるのだけど、英語もきちんと話せるわけじゃない。

 以前、仕事でハワイに取材に行ったときに、こんなことがありました。

 現地モデルを雇って撮影をしていたときに、年上の男性カメラマンから、「あのモデルさん、ワンピースの後ろのファスナーが少しだけ下りてるでしょ? 女性のあなたが直してあげて。必ずひと声かけてからね」と言われました。

 ひと声? はて? なんて言う?

 "Excuse me." と声をかけるところまではわかりますが、"May I〜"や"Can I〜"で始めるのか、"I'll〜"でいいのか、もっと気軽な言い方があるのか? "Let's"とか?
 さらに動詞は、[turn up]なのか[lay out]なのか[do up]なのか、まったく見当がつきません。

 ゴニョゴニョ言いながら何とか直しましたが、たったこれだけのことさえ言えない。

 そして、仮に言葉の問題を乗り越えたとしても、老人から話を聞くのは大変です。

 一昨年から約1年半のあいだ、四国在住の老人数名に、「アパート経営を始めたきっかけ」などを取材する仕事をしていました。
 「日本語が通じる」「話してほしいことは明確な事実関係」という、「二大楽ちん条件」が揃っていたにもかかわらず、「えーっと、私がお聞きしたいのはそうではなくて」なんてことが多々あるわけです。

 だから、仮に通訳を雇ったとしても(そんな予算はありませんが)、かなり厳しいことになるはずです。

 言葉の通じない、文化も違う老人から、国境に対する記憶や思いを引き出せるのか?

(次回へつづく)
posted by 「辻行燈」 at 18:09 | かわさき話/国境取材計画

2005年07月08日

■ 国境取材計画 02 (川崎)

 さて、ヨーロッパのどの国境を取材するのか。
 
 旧東ドイツと旧西ドイツ、旧チェコスロバキアとオーストリア、ハンガリーとオーストリアといった、東西の境界線があったところが興味深い。
(私自身、17年前にこれらの国境を越えているので、よけいに)
 
 ただ、そのぶん、現地の人々の記憶が、まだまだ生々しいような気がするのですよ。
 あまり呑気な態度で取材できるところじゃないな、と。
 
 もっとしっかりした準備をすべき地域のような気がして、正直、腰が引けてます。
 
 最近読んだ新聞記事に、あの写真家の長倉洋海が若いころ、インドシナにあこがれて、先輩の岡村昭彦に話を聞きに行ったところ、「君は中国語ができるのか? タイ語は? どのくらいあの地域を勉強した?」と言われて沈黙した、という話が載っていました。
 
 というわけで、どんどん腰が引けてしまい、「やわやわ」だけど、とりあえず最初は穏やかな地域にしよう、と決めました。
 1回目は視察みたいなもんだし。
 
 で、ヨーロッパ道路地図なんかも買ってみて、「ひとつの国としか国境を接していない国(たとえばポルトガルとか)というのは、いまいちおもしろくないかなぁ」とか、「たくさん接していてもあまり広い国だとまわるのが大変だなぁ」とか、本末転倒なところでいろいろと悩んだ結果、とりあえず、オランダとベルギーに仮決めをしてみました。
 
 治安もいいし、国は小さいし、わりと英語も通じそうだし、フランスやドイツとも接しているし、ほかの国々に比べれば国境をはさんだ血みどろの歴史は少なそうだし。
 そして、ちょうど司馬遼太郎の『オランダ紀行』を読んでいたところだし。
 
※うーん、客観的に理由を列挙してみると、自分でも驚くほどヘナチョコですなぁ。
 
 ただし、ベルリンも捨てがたい。
 17年前、西ベルリンの街をうろうろして、壁越しに東ベルリンを眺め、東ベルリンに入ってブランデンブルグ門やテレビ塔から西側を眺め、西ドイツの大学生と「ベルリンの壁」について(英語らしき言葉で)語り合った経験をもつ者としては、ぜひ、今のベルリンを見てみたい。
 行くべき時期を逃している感じはするけど、それでもちょっと見てみたい。
 
 いちおう大学ではドイツ語専攻だったし、ドイツ近代史は、ほかのヨーロッパ諸国よりは多少知っているし、と。
 ただしドイツは、ワールドカップサッカーの直前で、なんか落ち着きがない気がして、ちょっと気乗りしません。
 
 でも、ベルリンを選ぶ理由のほうが、オランダ、ベルギーを選ぶ理由よりも、ややマシか。
 
 そんなわけで、このふたつを候補にして、現在、歴史や文化についての即席勉強中です。
 
 さて、次に問題になるのは、言葉のことです。
 どうやって取材するのか?
 
(次回へつづく)
 
posted by 「辻行燈」 at 12:00 | かわさき話/国境取材計画

2005年06月29日

■ 国境取材計画 01 (川崎)

 グループ展では、「国境の取材をしたい!」と打ち上げた私ですが、まだ具体的に動き出していません。「不言不実行」あるいは「有言実行」なタイプなので、とりあえず、ここで進捗を書き、自分を追いつめていこうかと思います。
 ほんとは、不言実行がカッコいいことはわかっているのですが。

 まずは国境に対する思いを熱く語ろうかと思ったのですが、暑苦しくなりそうなので、とりあえずそれは端折って、実際の段取りに移りましょう。

 さて、取材をするとなると、どこの国境にするかを決めなければなりません。
 友人からは、「そりゃあ、何と言っても南北朝鮮の38度線でしょう」と言われましたが、軟弱な私には到底無理そうです。

 それから、カンボジアとタイの国境をすすめてくれた友人もいましたが、そこもちょっと上級者向けな感じがします。
 両国の物価格差でひと儲けしようという怪しい人たちがひしめいてそうで、うかつにチョロチョロしていると、「おまえか、麻薬の密輸の取材をしようとしているのは?」なんて誤解を招き、密林に埋められることになりかねません。

 というわけで、とりあえずヨーロッパを候補にしました。

 EU(欧州連合)ってものができてしまって、国境もなきがごとし。「そんなところを取材して国境が見えるのか!」という声も聞こえてきそうですが、国境の敷居が低くなるのは、近代社会の理想の姿ではないでしょうか?
 特に、冷戦後のナショナリズムや民族主義が台頭している今の世の中では、ある種のお手本的な状況。

 もちろん、民族や文化が非常に近いことなども原因ですが、ほんの60年前には、二手に分かれて陣取り合戦をしていたわけだし、冷戦中はその国境をはさんでにらみ合い、国境を越えるために多くの人が命を落としていたわけだし。

 そのころのことを体験している人たちが生きている間に、何とか「国境への思い」を聞き出せないか、と。
 それが、ナショナリズムや民族主義を越えるヒントにならないか、と。
(けっきょく、暑苦しく語ってしまいました)

 というわけで、ヨーロッパの取材しやすそうな国の物色に入ったわけです。

(次回へつづく)
posted by 「辻行燈」 at 13:43 | かわさき話/国境取材計画
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